KEK

1929年にアメリカの天文学者、エドウィン・ハッブルは、遠方の銀河が後退する速度を観測して、距離が遠い銀河ほどより早い速度で地球から遠ざかっていることを発見しました。つまり、宇宙が膨張しているということが分かったのです。宇宙が今後どのようになっていくのか、を知るためには、今の宇宙を成り立たせている2つの成分を知る必要があります。それらは「宇宙膨張を減速させる成分(A)」と「宇宙膨張を加速させる成分(B)」です。(A)は宇宙にある物質の量に関連があります。物質と物質の間では重力が働きます。この重力が引力となるので、宇宙膨張は減速されます。一方、(B)は物質とは反対の負の圧力をもつ成分で、アインシュタインが、宇宙の膨張や収縮を防ぐために方程式に導入した「宇宙項」としても知られています。この成分は全く正体不明なため、ダークエネルギーと呼ばれています。最近の超新星の観測から、現在宇宙膨張はどんどんと加速されているということが分かり、暗黒エネルギーが現実に存在する可能性が高くなってきました。 更に2つの成分の比率も分かってきました。(A)は宇宙の27%、(B)は73%。なんと、宇宙の大半がダークエネルギーで占められているという訳です。しかも、これまでに私たちが知っている原子を作っている物質は、宇宙を満たす物質やエネルギー全体の4%にしかすぎないため、残りの23%を占める未知の物質があることも分かったのです。物理学者は、この正体の分からない物質をダークマターと名づけました。